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家電商品の動向PRODUCTS

国内家電需要の見通し

【中・長期トレンド】
 ここ数年、家電エコポイントによる特需、消費増税前の駆け込み特需、PCのOSサポート終了に伴う特需などを除けば、国内の家電需要は右肩下がりの縮小トレンドで推移している。
 下記のグラフは、国内出荷金額を公表している各工業会の自主統計データをまとめた「主要家電商品国内出荷金額の推移」である。通信機器などは金額データが公表されていないため含めていないが、このグラフを見る限り、2011年度から2015までは明らかに縮小トレンドが表れている。



 個人市場に関していえば、主要家電商品の多くは耐久消費財であり、比較的高価なのに、いずれも世帯普及率が高いという状況である。そのため、緊急に買い求める必然性は小さく、可処分所得が予想外に増加したり、ライフスタイルを良好なものとするキーファクターとなるような画期的な新商品が多数登場しない限り、一般消費者がそろって購買に動くようなケースは考えにくい。新規需要は拡大せず、需要の大部分は買い替え需要となる上に、近年は上位グレード商品へのシフトが目立って多かったため、今後の買い替えサイクルはやや長期化する傾向にあると見られる。近々に大きな需要拡大が起こると予測するのは難しい。
 直近で期待できる要素があるとすれば、景況感の改善による法人需要の拡大であろう。例えば企業の情報・通信関連の設備投資拡大などが市場に好循環を醸成する可能性は決して小さくない。しかし、これまで予想外に長期化した景気停滞に直面してきただけに、いまだに“当面は様子見”という用心深い企業が多いのも事実である。決算書を見る限り、日本を代表するような大企業であっても、獲得した利益を内部留保の充実に当て、将来の環境変化への対応力を高めようとする意識が強いと感じる。多くの経営者は景気の先行きに期待はかけても、決して楽観視していないことは明らかだ。
 2020年の東京オリンピックへ向けて、国内の景気が徐々に上向いていくことは間違いないだろうが、家電需要が拡大基調へ反転するターニングポイントは、まだ数年先であろうと推察される。ここ1-2年は、家電の需要規模はほぼ横ばいに推移し、多少の増減があっても、その変動幅はごく限られた範囲に収まるものと見込まれる。

【商品分野別需要金額/2016年度見込み&2017年度予測】
 下記の表は、商品分野別の需要金額(メーカー・販社出荷ベース)について、2016年度見込みおよび2017年度予測を示したものである。対象とする商品は「映像機器」「音響機器」「情報・通信機器」「家事家電機器」「調理機器(キッチン家電)」「理美容・健康機器」「空調機器」「管球ランプ・電池」「記録媒体」の9分野・69商品に及ぶ。
 2016年度は前年比98.9%の7兆7,266億円に微減すると見込まれる。商品分野的には9分野のうち6分野が前年プラスとなっているが、伸長率では家事家電機器の3.5%が最大で、映像機器など4分野は伸びるといっても1%未満である。数量需要がほとんど伸びない中でも、上位グレードへのシフトなどにより購入単価がアップすると見込まれる商品が各分野に存在し、それらがかろうじて分野の金額需要をプラスにとどめるであろうという見方である。それでも市場規模の大きい情報・通信機器や管球ランプ・電池などのマイナス分まではカバーしきれず、トータルでは前年マイナスになると見込まれる。
 2017年度は前年比101.7%の7兆8,617億円に微増すると予測する。
 市場環境は16年度と比べて大きな変化はないと思われるが、確たるけん引役が不在ながらも日本経済は緩やかな回復傾向で推移してきており、家電に関しても、一部の上位グレード商品の売れ行きの好調さにも現れているように、消費マインドは非常に緩やかなペースではあるが徐々に回復の方向へ向かっていると見られる。また、法人需要に関しても、「15年度、16年度と抑制されていた設備投資が、省力化投資など一部では再開されるタイミングでもある」(メーカー関係者)ことなどを考慮に入れて各商品の予測値を積み上げたところ、9分野のうち8分野が前年プラスとなったが、トータルでは1.7%増の微増予測にとどまった。

■商品分野別16年度見込み金額&17年度予測金額
商品分野 対象商品 16年度見込み 17年度予測
金額
(百万円)
前年比
(%)
金額
(百万円)
前年比
(%)
映像機器 薄型テレビ、BS/CSアンテナ、DVD/BDレコーダー・プレーヤー、デジタルビデオカメラ、カーナビ 635,700 100.7 652,880 102.7
音響機器 システムオーディオ、携帯デジタルオーディオプレーヤー、ラジオ、ICレコーダー、ステレオヘッドホン 97,040 100.6 100,760 103.8
情報・通信機器 パソコン、タブレット、PCプリンター、PCディスプレイ、外付けHDD、無線・有線ルーター、電卓、電子辞書、デジタルスチルカメラ、PCサプライ、電話機、パーソナルFAX、モバイルフォン 3,182,200 97.2 3,234,800 101.7
家事家電機器 クリーナー、洗濯機、アイロン 517,520 103.5 523,180 101.1
調理機器
(キッチン家電)
冷蔵庫、フリーザー、電子レンジ、炊飯器、食器洗い乾燥機、食器乾燥機、IHクッキングヒーター、ホームベーカリー、ホットプレート・グリル鍋、トースター、ジャーポット、コーヒーメーカー、ジューサーミキサー・ブレンダー 817,990 100.9 829,370 101.4
理美容・健康機器 血圧計、体脂肪計・体組成計、活動量計(スマートバンド)、電子体温計、温水洗浄便座、マッサージチェア、電動歯ブラシ、ヘアードライヤー、メンズシェーバー、レディースシェーバー・脱毛機、肌ケア(スチーマー・ミスト・美顔器)、補聴器 401,950 103.4 411,440 102.4
空調機器 ルームエアコン、扇風機、電気ストーブ、電気カーペット、家具調こたつ、電気毛布、オイルヒーター、石油ファンヒーター、石油ストーブ、空気清浄機、加湿器、除湿機 869,000 100.4 866,600 99.7
管球ランプ・電池 管球ランプ、照明器具、一次電池、小型二次電池 1,158,900 97.5 1,196,250 103.2
記録媒体 メモリーカード、BDメディア 46,350 87.8 46,450 100.2
 9分野69商品合計 7,726,650 98.9 7,861,730 101.7


このボタンをクリックすると商品別需要予測「2017年度国内家電需要総予測」(PDF)がご覧いただけます


主要商品の国内出荷台数推移

 主要家電商品の過去10年間の国内出荷台数推移をグラフにした。暦年(1月〜12月)と年度(4月〜翌年3月)の両方を示しているが、ピーク時の出荷台数の大きな商品は、スケールの関係で小さな差異がグラフだけではとらえにくいので、データ数値も合わせて見ていただきたい。

【AV機器(JEITA)】



 

 

 
 
【情報・通信機器(JEITA、CIPA)】 
 
 



 
【空調機器(JEMA)】 




【家庭電化機器(JEMA)】





















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