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大型カメラ店CAMERA RETAILERS

大型カメラ店の概況

 「大型カメラ店」チャネルの代表企業は、ヨドバシカメラやビックカメラである。大都市圏のターミナル駅に出店している大型カメラ店は、社名にこそカメラと付いているが、AV家電や情報・通信機器のみならず、白物家電やエアコンなどの空調機器、果ては住設系やリフォームに至るまで幅広い家電商品群を取り扱っており、実態としては「カメラ関係に強い大型家電量販店」である。
 あえて家電量販店との違いを挙げるとすれば、家電量販店の標準的な店舗は郊外立地が主流で、メイン客層はファミリー層、売り上げは土日に集中するのに対し、大型カメラ店は店舗がターミナル駅に直結、もしくは隣接した場所にあること、多層階からなる超大型店舗が非常に多いこと、客層は若者やビジネスマンが中心で、土日だけでなく平日の売り上げも大きく、1店舗当たりの売上高が平均的な家電量販店の数倍から数十倍に達する規模であること・・・・などが主なところだろう。
 現在では、ヤマダ電機が大型カメラ店対抗策として「LABI」の名称で多層階型超大型店舗をターミナル駅近辺に多数展開していることもあり、チャネルとしての「家電・PC量販店」と「大型カメラ店」との相違点はますます小さくなってきたといえるだろう。

 弊社推定による2014年度の大型カメラ店のチャネル別シェアは前年比0.9ポイントダウンの12.2%であった。
 景況感の低迷が長引き、家電・PC量販店は4年連続でシェアダウンを続けていたのに対し、大型カメラ店は2011年度から2013年度までは徐々にシェアが伸長するという状況であった。その理由として考えられるのは、集客力に優れたターミナル駅周辺に店舗を構えるカメラ量販店は、郊外型の家電・PC量販店よりも客足への影響は少なく済んだということが考えられる。しかし2014年度は、ついに大型カメラ店もシェアがダウンした。
 2014年度は大型カメラ店を含む家電専門チャネルがいずれもシェアダウンした一方で、非専門店チャネルのチェーンストア、電材・住設機器店、ホームセンターの3チャネルがシェアアップしていることから、数値的な傾向だけをとらえると、消費増税前の駆け込み需要がより大きかった家電専門チャネルの方が、非専門チャネルよりも増税後の反動減も大きかったということだろう。
 念のために付け加えておくと、2014年度は、シェアアップしたチャネルもシェアダウンしたチャネルも売上高は軒並み大きく前年割れしており、売上高が前年を上回ったチャネルは家電商品の店頭販売ウェートが極めて低い電材・住設機器店だけである。

上位企業の業績推移

 2015年度の売上高は、ビックカメラは7,790億8,100万円、ヨドバシカメが6,796億円、キタムラが1,542億1,900万円である。ビックカメラとヨドバシカメラの2社が群を抜いて大きな売上高を獲得していることが分かる。家電量販店の売上高ランキングにビックカメラとヨドバシカメラを並べると、ビックカメラはヤマダ電機に続く2位、ヨドバシカメラはエディオンとケーズホールディングスの間の4位に該当する。
 ビックカメラは2012年度、コジマを連結子会社化したことでそれまで大型カメラ店チャネルのトップだったヨドバシカメラの売り上げを上回り、以降、ポジションをキープしている。2015年度(2016年8月期)に関しては、売上高は若干前年割れであったものの、経常利益は前年比113.1%と大幅に改善している。店舗政策の面でも2015年度は活発であった。2016年5月に「あべのキューズモール店」を出店。またビックカメラグループのビックアウトレットが「アウトレット町田店」を、コジマが「コジマ×ビックカメラ宇都宮店」などをオープン。さらに2016年度に入ってからも、既に「広島駅前店」をオープンしている。
 ヨドバシカメラは2015年度、売上高は4.3ポイント、経常利益は0.2ポイント前年度より増加した。ただし、景気低迷の中とはいえ、同社は2015年7月に「マルチメディアさいたま新都心駅前店」、10月に「マルチメディア名古屋松坂屋店」をオープンし、さらに2016年3月には新潟店を移転し「マルチメディア新潟駅前店」をオープンしているだけに、やや“もの足りない”感は拭えない。「マルチメディア梅田」や「マルチメディア秋葉原」を出店した時ほどの強烈なインパクトは到底望めないが、1店舗当たりの売上高が極めて大きいのが特徴の大型カメラ店だけに、新店舗が年間を通して売り上げに貢献することになる2016年度に期待したいところだ。

■ビックカメラの業績推移
 

■ヨドバシカメラの業績推移
 

■キタムラの業績推移
 


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